平成24年度

森実 真実   

東日本大震災から1年半、多くの人々が絆の大切さ、当たり前だと思っていたことのありがたさに気づかされ、今ある「いのち」の不思議、尊さを感じているのではないでしょうか。そして、ロンドンオリンピック、パラリンピックの選手たちの姿にたくさんの感動と勇気をもらいました。しかし、今、子ども達の心や命が傷つけられたり、そのために自分の命を絶つという信じたくない悲しい事件が後をたちません。若いあなたたちと共に私たち大人も悩み、「いのち」の大切さをどう伝えたらいいのか、考えています。

 

 私たちの「いのち」は、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん…ずっと昔からの“いのちのバトン”を引き継いで生まれてきています。自分ひとりの「いのち」ではありません。そして、みんなの周りの友達も、そのかけがえのない「いのち」を持っています。

 日野原重明先生は『いのちのおはなし』の中で『いのちは時間。その時間を自分のためだけじゃなくほかの人のためにも使って精一杯生きたいと思います』と語られています。

 

 『世界は一冊の本』・・・ たくさんの人に出会うように、どうぞみなさんたくさんの本に出会い、心に種まきをして下さい。みなさんが知ったこと、感じたこと、考えたこと、経験したこと、それが栄養となり、しっかりと心に根を張ることでしょう。やがて木陰をつくる大きな木になったり、心を和ませる優しい素敵な花を咲かせることでしょう。「輝き文庫」の本がそのお手伝いになれば私たちは幸せです。

 

 みなさんに贈る本を読みながら、わが子が生まれた時のことを思い出していました。一人一人が、少しだけ周りの人の気持ちに思いをはせたり寄り添ったりすることで、救える「いのち」もあるかもしれません。そうであってほしいと願っています。

 今回も本を選ぶにあたっては、各学校の先生や図書館の方々にご協力いただきました。本当にありがとうございました。

 

     世界は一冊の本   長田弘

本を読もう。

もっと本を読もう。

もっともっと本を読もう。


 

書かれた文字だけが本ではない。

日の光り、星の瞬き、鳥の声、

川の音だって、本なのだ。


 

ブナの林の静けさも、

ハナミズキの白い花々も、

おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。


 

本でないものはない。

世界というのは開かれた本で、

その本は見えない言葉で書かれている。

 

ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ、

地図の上の一点でしかない

遥かな国々の遥かな街々も、本だ。


 

そこに住む人々の本が、街だ。

自由な雑踏が、本だ。

夜の窓の明かりの一つ一つが、本だ。

 

 

シカゴの先物市場の数字も、本だ。

ネフド砂漠の砂あらしも、本だ。

マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。

 

 

人生という本を、人は胸に抱いている。

一個の人間は一冊の本なのだ。

記憶をなくした老人の表情も、本だ。


 

草原、雲、そして風。

黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。

権威をもたない尊厳が、すべてだ。

 

 

200億光年のなかの小さな星。

どんなことでもない。生きるとは、

考えることができるということだ。


 

本を読もう。

もっと本を読もう。

もっともっと本を読もう。

 

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